令和3年民法・不動産登記法改正①
令和3年民法・不動産登記法改正①として、「相続登記の申請の義務化」について解説します。
「相続登記の申請の義務化」の趣旨
①これまで相続登記の申請は任意とされており、かつ、その申請をしなくても相続人が不利益を被ることが少なかったこと、②相続した土地の価値が乏しく、売却も困難であるような場合には、費用や手間を掛けてまで登記の申請をする意欲がわきにくいことなどから、相続が発生してもそれに伴って相続登記がされない(被相続人名義の登記のまま放置されている)事例が多くあります。その結果、所有者不明土地(被相続人名義の登記のまま放置されているため、登記を見るだけでは所有者が分からない土地)が多く発生しています。
そこで、このような所有者不明土地の発生を予防するため、「相続登記の申請の義務化」がなされます。
「相続登記の申請の義務化」の内容
①基本的なルール(不動産登記法76条の2第1項)
相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、「その所有権を取得したことを知った日」(※「被相続人の死亡を知った日」ではありません。)から3年以内に相続登記の申請をしなければならないこととされました。
②遺産分割が成立した時の追加的なルール(不動産登記法76条の2第2項)
遺産分割の話し合いがまとまった場合には、不動産を取得した相続人は、「遺産分割が成立した日」から3年以内に、その内容を踏まえた登記を申請しなければならないこととされました。
「相続登記の申請の義務」違反の効果
正当な理由がないのに「相続登記の申請の義務」に違反した場合、10万円以下の過料の適用対象となります(不動産登記法164条)。
「相続登記の申請の義務化」に関する施行日
令和6年4月1日施行ですが、施行日前に開始された相続にも適用され、「施行日」又は「所有権を取得したことを知った日」のいずれか遅い日から3年以内に登記申請が必要となります。
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