遺産相続の基本②(相続人の範囲)
遺産相続の基本②として、「相続人の範囲」について解説します。
「相続人の範囲」を確定する意義
遺産分割の当事者(通常であれば相続人)であるにもかかわらず、その者を除外してされた遺産分割は、無効である(最大判昭53・12・20民集32-9-1674)とされています。そして、遺産分割が無効になると、遺産分割をやり直すことになってしまいます。
したがって、有効な遺産分割をするため、まずは「相続人の範囲」を確定する必要があります。
「相続人の範囲」(原則)について
①配偶者:配偶者は、常に相続人となります(民法890条)。
※内縁配偶者、事実婚やパートナーシップの当事者には、相続権が認められないとされています。
②配偶者以外の相続人
・第1順位:子(民法887条1項)
・第2順位:直系尊属(通常であれば父母)(民法889条1項1号)
※子(第1順位)がいる場合は、直系尊属(第2順位)は相続人となりません。
・第3順位:兄弟姉妹(民法889条1項2号)
※子(第1順位)又は直系尊属(第2順位)がいる場合は、兄弟姉妹(第3順位)は相続人となりません。
「相続人の範囲」(例外)について
相続人が被相続人の相続開始以前に死亡したり、一定の事由(相続欠格・廃除)により相続権を失ったりした場合、①子(第1順位)の直系卑属(被相続人の孫・ひ孫・玄孫…)又は②兄弟姉妹(第3順位)の直系卑属(被相続人の甥・姪のみ)が代襲相続することとなります。
「相続人の範囲」の確定方法
戸籍謄本等を取り付け、その記載により親族関係を調査し、相続人を確定することとなります。
①配偶者と子の存在の確認:「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等」から、配偶者と子の存在を確認します。
↓【子の存在が確認できた場合】
②子の存在の確定:「子の出生から現在までの戸籍謄本等」から、子の生存を確認し、相続開始時点における子の存在を確定します。
※子が存在したが、被相続人よりも先に死亡している場合:相続開始時点における子の直系卑属(被相続人の孫・ひ孫・玄孫…)の存在を確定します。
↓【子の存在が確認できなかった場合】
③父母等の直系尊属の存在の確認:「父母等の直系尊属の出生から現在までの戸籍謄本等」から、父母等の直系尊属の生存を確認し、相続開始時点における父母等の直系尊属の存在を確定します。
↓【父母等の直系尊属が全て死亡している場合】
④兄弟姉妹の存在の確認:「被相続人の父母の出生から死亡までの戸籍謄本等」から、兄弟姉妹の存在を確認します。
↓【兄弟姉妹の存在が確認できた場合】
⑤兄弟姉妹の存在の確定:「兄弟姉妹の出生から現在までの戸籍謄本等」から、兄弟姉妹の生存を確認し、相続開始時点における兄弟姉妹の存在を確定します。
※兄弟姉妹が存在したが、被相続人よりも先に死亡している場合:相続開始時点における兄弟姉妹の直系卑属(被相続人の甥・姪のみ)の存在を確定します。
「相続人の範囲」について問題となりやすい事例
①隠し子の問題
・いわゆる「隠し子」(非嫡出子)の存否が問題となることがあります。「相続人の範囲」の確定方法の不備によって起こり得ます。
②数次相続の問題
・被相続人が死亡した後に、相続人が死亡した場合、その死亡した相続人の相続人が被相続人の遺産相続に関与することとなります。この数次相続の場合、「相続人の範囲」が一気に広がることとなります。
遺産相続については、後藤総合法律事務所(岐阜)にご相談ください
有効な遺産分割をするため、まずは「相続人の範囲」を確定する必要があります。しかし、相続人の調査には多数の戸籍謄本等を取り付ける必要があり、時間と手間が掛かります。また、苦労して多数の戸籍謄本等を取り付けても、「相続人の範囲」の確定を誤ると、遺産分割をやり直すことになってしまいます。
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